【2023年度版】ドローンに免許は必要?ドローン国家資格取得するには?徹底解説
2022年12月5日より、ドローンの免許、国家資格「無人航空機操縦士」が新設されました。
ドローンの国家資格「無人航空機操縦士」が新設されたこと、ドローンが最近注目されている理由の1つでもありますね。
無人航空機として初めての国家資格であるとともに、ドローンで仕事をしていきたい、と考える人にとっては、取得すべき資格です。
今回は、この「ドローン国家資格」や免許について詳しく解説します。ドローンを操縦したことが無い人やドローンの資格でどれがいいのか悩んでいる人はぜひ最後までご覧ください。
それでは、ドローン国家資格「無人航空機操縦者技能証明制度」の概要について解説していきます。
ドローンの国家資格とは? 何で国家資格制度が新設されたの?
ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明制度)とは、航空法の規制となる空域や特定の飛行方法を行う場合に必要な知識や能力に関する試験を実施し、その技能を証明する制度のことです。
では、国家資格は何故新設されたのでしょう。目的は、無人航空機の飛行を一定基準下で規制を解除することで、ドローン産業を発展させるためです。但し、この無人航空機操縦士の資格を取得しなければ、ドローンを飛ばせない訳ではありません。
また、この資格には一等無人航空機操縦士(一等資格)と二等無人航空機操縦士(二等資格)の2つの区分があります。
一等 | 項目 | 二等 |
第一種機体認証を受けた機体での飛行であれば可能 | カテゴリーⅢ飛行(レベル4飛行) | 不可 |
可能(審査あり) | カテゴリーⅡA飛行 | 可能(審査あり) |
第一種または第二種機体認証を受けた機体であれば飛行可能 | カテゴリーⅡB飛行 | 第一種または第二種機体認証を受けた機体であれば飛行可能 |
・一等資格はレベル4飛行(有人地帯における第三者の上空を飛ばすこと)が可能となります。
・二等資格はレベル3までの無人地帯における目視外飛行までが可能となります。
したがって、講習や試験は二等資格の内容にレベル4飛行に向けた科目を追加したのが一等資格の内容となっています。
また、国家資格には基本と限定変更というものがあります。
限定変更とは
限定変更というのはオプションコースのようなもので、該当する飛行方法の追加講習を受けて試験をクリアすることで飛行させることができます。
- (基本)昼間飛行+目視内飛行
- (限定)目視外飛行
- (限定)夜間飛行
- (限定)最大離陸総重量25㎏以上の機体
さらに、国家資格では実地試験を以下の3種類に区分けして該当する試験が行われます。
・回転翼航空機(マルチローター)
・回転翼航空機(ヘリコプター)
・飛行機
国家資格を取得しないとドローンは飛ばせないの?
よくある勘違いとして、国家資格や民間資格を取得しないとドローンを操縦できないと思われる方がいますが、航空法の規制となる空域や特定の飛行方法をしない限り資格や必要な許可が無くても自由に飛ばすことはできます。
しかし、航空法の規制となる空域や特定の飛行方法などのルールに従ってドローンを飛行させる場合、屋内などの限られた場所でしか飛ばせないのです。
そこで必要な許可をもらいやすくするために、ドローンの資格が存在しているのです。
(ご参考)日本海自協会って?
ドローンの国家資格について調べてるいると時々出てくる日本海自協会とは、通称ClassNKとも呼ばれ船舶に関するさまざま事業に携わる民間団体です。
その日本海自協会は国土交通省より指定試験機関として、無人航空機の操縦ライセンスの国家試験を実施することが認められ国家試験を担うこととなりました。
国家資格の試験案内ウェブサイト(無人航空機操縦試験)の運営を担っており試験日程や国家資格に関する様々な情報を確認することができますよ。
それでは、国家試験の内容を見ていきましょう。
国家試験の受験資格は?
国家資格の受験資格は以下の2つとなります。
- 16歳以上であること
- 航空法の規定により国土交通省から本試験の受験が停止されていないこと
2つめについては、犯罪などの問題を起こし資格の取り消しや試験中に不正行為などを行った場合に対象となるので、気にしなくても大丈夫ですよ。
ドローン国家資格取得までの流れ
初めて無人航空機操縦士試験を受験する場合、以下のようなステップで資格取得を目指します。(主に登録講習機関で取得する場合)
①技能証明申請者番号取得
・ 国土交通省が運営管理するドローン情報基盤システム(DIPS2.0)にて本人確認手続きを行います。手続きが完了すると、講習や試験の申請で使用する技能証明申請者番号が取得できます。
②登録講習機関(ドローンスクール)での受講
・学科講習と実地講習を行います。
※一等学科試験、二等学科試験を受験し、先に学科試験をクリアしておくことも可能です。私が、一等学科試験を独学にて勉強した時のポイントを解説しましたので、よろしければ以下のブログを参考にしてください。
・登録講習機関で、見事実地試験まで合格しましたら、修了証明書を受け取ったら実地試験の免除申込みをしましょう。
※登録講習機関での受講を受けずに指定試験機関での学科び実地試験を受験することも可能ですが、特に実地試験については、登録講習機関で受講することにより指定試験機関での試験が免除されるとともに、より深くドローンの知識と技能を身につけることができます。
③試験申し込みシステム利用者登録(アカウント登録)
・試験申し込みシステムでDIPS2.0に登録した同一のメールアドレスを入力してアカウントを登録します。
④受験資格確認
・試験申し込みシステムにログインし、試験一覧から「受験資格の確認」を選択し、詳細を確認して申込みをします。
⑤学科試験 身体検査の申し込み・受験
・試験申し込みシステムにログインし、学科試験と身体検査のお申し込みをし、試験を受けましょう。
※登録講習機関での受講を受けない場合は、学科試験合格後、実地試験のお申し込みをして受験をしましょう。
⑥試験合格証明書発行
・試験申し込みシステムにログインし、試験一覧から「試験合格証明書発行」を選択し、詳細を確認して申込みをします。
⑦技能証明発行
・ 取得したアカウントでDIPS2.0にログインし、新規取得の場合は「技能証明書の新規交付」、限定変更の場合は「技能証明の限定変更」を押下し、申請を行います。DIPS2.0に登録された書類発送先の住所に技能証明書が郵送されます。
①技能証明申請者番号取得については、別のブログにて紹介します。
では、②登録講習機関(ドローンスクール(車の自動車教習所のようなもの))での受講について見てみましょう。
ドローン国家試験の登録講習機関とは
国家資格の講習・試験を行う場所ですが、国土交通省が認めた登録講習機関のみが対象となります。
登録講習機関は、当然すべてのドローンスクールがなれるわけではありません。
国家資格を教える講習の講師経験期間や飛行時間、試験会場の確保(一定の敷地を有してなければならない)など、条件が厳しく定められています。
なかでも試験会場の条件として規定されている面積について、二等資格の場合でも「21m × 13m」と広いため、屋内ドローンスク―ルなどは講習は屋内で行い、試験のみ屋外の別会場となる場合も多いですね。
※学科講習の同時受講者数は、約50人以下と定められており、実地講習では一人の講師に対して受講者は5人以下と定められております。
なお、2023年4月12日現在、国家資格の登録講習機関となっているのは1600校以上あると言われているドローンスクールのなかで374校となっていますので、通いたいスクールが決まっている場合は随時その情報をチェックしておきましょう。
(登録講習機関での)学科講習の内容
学科講習はドローンについての知識や法律関係の事について学びます。
座学となっているためドローンを飛ばす事はなく、学校の授業のようにとにかく勉強するイメージです。
座学についてはオンラインでの講習も可能で、スク―ルに通わなくても自宅で受けることも可能となっています。
オンライン講習でも対面と同じように質疑応答ができるように定められているのでオンラインだからというデメリットは特になさそうです。
講習内容については、以下の5項目となっています。
①無人航空機操縦者の心構え
②無人航空機に関する規則
③無人航空機のシステム
④無人航空機の操縦者及び運行体制
⑤運行上のリスク管理
講習時間については以下のようになっています。
初心者:一等資格:18時間以上
:二等資格:10時間以上
経験者:一等資格:9時間以上
:二等資格:4時間以上
※ドローンスクール(登録講習機関)では、詳しく知りたい方向けに無料の説明会を開催しています。無料の説明会&ドローン操縦体験会に参加するのも良いですね。
次に学科試験の内容です。
学科試験の内容
学科試験は漢字検定や英語検定などにも使用されているCBT(コンピュータを使った試験方式)で行われ選択式の問題となっています。
問題形式は3つの選択肢の中から一つを選んで答える方式で、問題数は以下のようになっています。
・一等資格:70問
・二等資格:50問
合格基準は以下の通りです。
・1等資格:90%以上の正答率
・2等資格:80%以上の正答率
また試験内容については講習で教わった事がそのまま出るようなイメージで詳しくは以下のような感じです。
①無人航空機に関する規則(航空法に関する一般知識など)
②無人航空機のシステム(ドローンの特徴や飛行性能、技術的なことなど)
③無人航空機の操縦者及び運航体制(操縦者の行動規範及び遵守事項など)
④運航上のリスク管理(最適な運航の計画の立案の基礎や気象のことなど)
気になる試験費用ですが、以下のようになります。
一等資格:9,800円
二等資格:8,800円
学科試験の解説については、以下のブログで詳細解説していますので、ご覧下さい。
実地講習と試験内容について ※最下部に拡大画像あり
実地講習では実際にドローンを操縦して技術の習得を目指します。
この講習ではシュミレーターの使用が認められており、履修科目ごとの最低時間の4割を上限としているため、例えば、
二等資格:初心者、基本(限定変更なし)の場合、合計時間が10時間以上のため4割の4時間までならシュミレーターでの講習が可能となっています。
実地講習の内容
実地講習内容については、履修科目によって変わりますが以下の11項目となっています。
①飛行リスク評価結果及び飛行環境 |
②運行体制、手順、役割分担の管理確認 |
③機体の状況、操縦モード、バッテリーの確認 |
④フェールセーフ機能の適切な設定、飛行経路の設定、自動飛行の設定 |
⑤基本操縦(手動) |
⑥基本操縦(自動) |
⑦基本操縦以外の機体操作 |
⑧様々な運行計画への対応 |
⑨安全に関わる操作 |
⑩緊急時の対応 |
⑪飛行後の記録、報告の確認 |
実地講習時間については以下のようになっています。
初心者:一等資格 基本(限定変更なし):50時間以上
:二等資格 基本(限定変更なし):10時間以上
経験者:一等資格 基本(限定変更なし):10時間以上
:二等資格 基本(限定変更なし):2時間以上
実地試験の内容
実地試験では操縦技術や点検・記録なドローンを安全に運用するための技能や知識について確認します。
採点については、100点の持ち点からの減点式となっていて以下のような持ち点を試験終了時確保した受験者が合格となります。
一等資格 100点満点中80点以上
二等資格 100点満点中70点以上
実地試験の内容は以下のように5つありますが、実際にドローンを操縦するのはどちらも3つ目の実技試験のみで、内容の大きな違いも実技試験の違いとなっています。
一等資格 基本 試験内容
1:机上試験(飛行計画の作成)
2:口述試験(作動前の機体点検、飛行空域及びその周辺の確認、作動点検)
3:実技試験(高度変化を伴うスクエア飛行、ピルエットホバリング、緊急着陸を伴う8の字飛行)
4:口述試験(飛行後点検、飛行後の記録)
5:口述試験(事故及び重大インシデントの説明)
二等資格 基本 試験内容
1:机上試験(飛行計画の作成)
2:口述試験(作動前の機体点検、飛行空域及びその周辺の確認、作動点検)
3:実技試験(スクエア飛行、8の字飛行、異常事態における飛行の飛行)
4:口述試験(飛行後点検、飛行後の記録)
5:口述試験(事故及び重大インシデントの説明)
身体検査について
資格取得には身体検査が必要となります。身体検査では、視力、色覚、聴力、運動能力等について身体基準を満たしているか確認を行います。
身体検査は以下の内いずれかの方法で受検ができます。
・有効な公的証明書の提出
・医療機関の診断書の提出
・指定試験機関の身体検査受検
また受検方法は2種類あり、費用も異なります。
書類での受検:5,200円
会場での受検:19,900円
書類での受検とは、受験者が以下のいずれかの書類を提出することで書面にて身体検査を受検する方法です。
・自動車運転免許証(自動二輪免許、小型特殊免許及び原付免許を除く。)
・指定航空身体検査医による航空身体検査証明書
・無人航空機操縦者技能証明書 ・医師の診断書(指定の様式あり)
会場での受検とは、受験者が指定試験機関が準備する会場で直接身体検査を受検する方法です。
ドローン国家試験の今後
ついに始まったドローンの国家資格ですが、一等資格についてや機体認証についてはまだまだ調整が行われています。そして登録講習機関についても多くのスクールが申請中のためこれからさらに増えて行くでしょう。
これまで曖昧だった事や法律で不可能だったことが国家資格や法律の整備によって明確になり、これから更なる活用が期待できます。
まとめ
一等無人航空機操縦士を取得するメリットは、今までドローンを飛ばすことができなかった「レベル4飛行」(有人地帯における第三者の上空を飛ばすこと)が可能となることは分かったのですが、二等を取得するメリットは?と思いますよね。では、二等を取得するメリットを見てみましょう
- (二等を取得し二種の認証を受けた機体を使用の場合)最低でも1年に1回は更新しなくてはならない、特定飛行の「包括申請」を行わずに飛行をすることができる →ドローンを飛行させる手続きが簡単になる。
- ドローン操縦士の仕事をしている、または仕事にしようとしている方にとって、(今まで民間資格のみだった)ドローン業界で新設された国家資格を取得することで箔が付く(他の人より高く評価される)。
繰り返しとなりますが、一等無人航空機操縦士か二等無人航空機操縦士を取得しなければドローンを飛ばせなくなるということはないため、安心してください。
ドローン国家資格「無人航空機操縦者技能証明制度」に関するよくある勘違い
「国家資格」であるが「操縦免許」ではない?
無人航空機操縦者技能証明制度で取得できる一等無人航空機操縦士または二等無人航空機操縦士は、ドローンの操縦免許であると誤解している人は割と多いです。
「免許」という単語は一般的に、該当する免許資格を所有している者に対して法律で禁止・規制している行為にのみ許可をする仕組みと言われています。細かい定義で言うと、免許は「業務独占資格」というその資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務を、独占的に行うことができる資格でもあります。
業務独占資格は国家公安委員会による自動車等運転免許や総務省によるアマチュア無線技士、厚生労働省による医師、文部科学省による教育職員のように法律で制定されているものがほとんどであり、ドローン操縦における業務独占資格は法律で制定されていないためドローン業界に免許という単語は存在しません。
つまり、国家資格である一等無人航空機操縦士または二等無人航空機操縦士を取得していれば必ず航空法で禁止・規制されている飛行が許可される訳ではありません。
もちろん、国家資格以外に民間の資格もありますが、民間資格も資格持っていれば航空法で禁止・制限されている行為が必ず許可されるという資格ではありません。
無人航空機操縦士を取得しないとドローンを飛ばせなくなる?
「無人航空機操縦者技能証明制制度が施行された後、一等無人航空機操縦士か二等無人航空機操縦士を取得しなければドローンを飛ばせなくなるんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
現状では、答えは「No」です。
一等無人航空機操縦士や二等無人航空機操縦士を取得するかどうかは、必ず必要なものではありませんが、チャレンジするのも良いですね。